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2024年5月 6日 (月)

地政学的

少し前の熊日の記事。

1月28日のくまにち論壇に北海道大教授岩下明裕さんが書いていた。

ここは地政学的に重要だと聞かされるとわかったように錯覚する。しかし実際には「米軍は中国のミサイル射程から少しでも遠いグアムへの海兵隊の移転を進める。嘉手納でも主力F15戦闘機の常駐を減らしているとされる。米軍の存在感の低下は日本の安全保障の脆弱性を高めかねないと考えた日本政府は米軍をつなぎとめたい」

そのとき、本土への基地移転ではなく沖縄に負担を担ってもらうために、地政学は問題の本質を覆い隠すマジックワードとなると岩下教授は解く。

「軍事作戦での空間利用の分析を除き、地政学など存在しないと考える。元となる英語「geopolitics」には「学」の意味すらない。平たく言えば、政治を空間から考えようとすることと整理できるのだが、19世紀の帝国主義、これに続くファシズムの世紀に、geopoliticsは地理を不変化し、かつ大国が主体となって空間において力をしのぎあう(小国や人々を支配する)虚構として発展してきた」

「地政学はいま、海洋大国(米英等)と陸の大国(ロ独等)がかつて世界で角逐した物語を単純にあてはめ、ユーラシア大陸における中ロと米国の角逐や太平洋など海を巡る覇権争いの言説を紡ぐ。そこでは科学技術の高度化による地理空間の縮小、大国の狭間で自らの生存を賭けてしのぎを削る小国の存在、ましてや小さな空間における人々の営みなどは多くが捨象される」

ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスの戦争は従来の地政学では説明できないということだろう。

それなのに極東で説かれる地政学というワードがいかに都合よく現実離れした「学」であることか。

ただ地図の上で距離が近いことだけで、危機を煽るのは政治的な理由だろう。ということは政治で解決できるんじゃないの、と言いたくもなる。


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