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2012年4月 4日 (水)

アンダーグラウンド

「いや、それよりも更に私が深く危機感を感じるのは、
当日に発生した数多くの過失の原因や責任や、
それに至った経緯や、またそれらの過失によって
引き起こされた結果の実態が、いまだに情報として
一般に向けて充分に公開されていないという事実である。
言い換えれば『過失を外に向かって明確にしたがらない』
日本の組織の体質である。
『身内の恥はさらさない』というわけだ。その結果、
そこにあるはずの情報の多くは『裁判中だから』とか、
『公務中のできごとなので』というわかったような
わからないような理由で、取材を大幅に制限される」

これは、村上春樹が『アンダーグラウンド』(講談社刊)の
あとがきp719に書いていた文章である。
ご存知のように、これはオウム真理教による
地下鉄サリン事件被害者へのインタビューを
まとめたものであるが、その大方の部分は、
東日本大震災と、それに伴う原発事故にもそのまま当てはまる。

村上氏は、「日本の組織の体質である」と書いているが、
これはおそらくどこの国においても大なり小なり、
そういうものではないかとも思う。
いけないことだが、それが人間のなせる業ではないか。

とはいえ、日本では現実にあれから20年近く経っているのに、
情報公開に対する姿勢が少しも変わっていない。
ただ、これは他のいくつかの事件でも見られることだが、
時間をおけば、どこからかボロボロと情報が
こぼれてくるようになったこともまた事実である。
全体的には少しずつ、変わってきているのだろうか。








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