「常識的!」?
8月4日付熊日に内田樹「常識的!」というコラムがあった。「おじさん」向け雑誌のおじさん的オピニオンの形成は、マニュアルによってなされるという内容だ。妙齢の女の子が、「フェイクおじさん」になって書いた記事を自分たちおじさんの意見の集約だと勘違いしていると言ったって、元々雑誌の記事を自分の考えみたいに思ってしまうことが間違いである。実際のおじさんが書いたって、マニュアル・ライクなことを書くに決まってるんだから。
内田先生は結びに、スティービー・ワンダーが、ボブ・ディランに歌唱指導していたという話を書いている。おそらく、マイケル・ジャクソンが昔チャリティでやった「ウィ・アー・ザ・ワールド」のことだろうと思われる。ボブ・ディランの名誉のために書いておこう。
他人の曲を、いくらチャリティとはいえ、いきなり与えて歌えというのは、オリジナルなアーティスト、ディラン氏にとっては酷ではないか。スティービーがこういう風に歌えというのは、「世の中が求めるディラン・スタイルに即していなければ、大衆が納得しないよ」ということを知り尽くしている、ワンダーのプロデューサー感覚である。
それを「(ディランは)加齢とともに創造的エネルギーが枯渇してしまい」と、自分の文章のテーマに合うように、強引に引きつけてしまっている。ディランらしく歌えないことの方が、創造的と言えるかもしれない。
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